【事例紹介】保険も自費も、対面もオンラインも担う医療法人──則由会の理念とMedibot導入の舞台裏

医療法人社団則由会 理事長/耳鼻咽喉科専門医 水島 豪太様

医療法人社団則由会は、保険診療の「ピースクリニック」、自由診療の「AGAヘアクリニック」、オンライン自由診療の「東京ミレニアルクリニック」の3ブランドを運営しています。

「保険×自費」「対面×オンライン」という分断されやすい領域を自前で担い、どの診療形態でも一貫した体験価値を届けようとしている医療法人は多くありません。

理事長・水島先生が大切にしているのは、
「医療はビジネスの前に、患者さんの体験を良くする営みであるべき」
という考え方です。この価値観が3ブランドすべての設計思想の軸になっています。

自費・オンライン領域である 「AGAヘアクリニック」「東京ミレニアルクリニック」では、その思想を日々の運営に落とし込むための基盤として Medibot を導入し、相談・予約・オンライン診療までの流れをなめらかに整えています。

小さな気づきが、医療の形を少しずつ変えていった

―― 医療に対する原点はどこにあったのでしょうか?

水島先生:則由会は父が始めた耳鼻咽喉科クリニックから続き、40年ほどの歴史があります。私も耳鼻咽喉科医として保険診療に携わってきましたが、「この仕組みだけでは患者さんを救い切れないのでは」と感じる場面がありました。

象徴的なのが、80歳のめまい患者さんのケースです。診察では「耳由来のめまいで脳疾患の可能性は低い」と説明できましたが、患者さんは「年齢的に一度はMRIを撮りたい」と望まれました。

医学的には不要でも、この方が求めていたのは説明だけでなく安心という体験でした。保険で撮るべきか、自費で人間ドックに行くべきか──答えは出ません。ただ、「保険診療の枠では届かない安心がある」という引っかかりだけが残りました。

そこから「医学的水準を保ちながら、最終的な選択を患者さん自身ができる自由診療もまた必要ではないか」と考えるようになり、ちょうどオンライン診療が本格化してきた時期と重なって、まずAGAヘアクリニックを立ち上げました。

―― 本院を担うことになったとき、どんな姿勢で臨まれたのでしょうか?

水島先生:父の耳鼻科を承継する際、「ただ継ぐ」という選択はしませんでした。
採用と評価の基準をゼロから再設計したんです。

  • 売上を軸に採用しない
  • 医師の評価は「患者さんと仲間から信頼されているか」
  • 売上は理事長である私の責任

この理念採用によって、ピースクリニックは患者数・売上ともに2年ほどで倍増しました。
「信じていた方向性は間違っていなかった」と実感できた瞬間でした。

則由会の3ブランド──根底の考えはすべて同じ

―― いまのブランド構成について教えてください

水島先生:現在は3つのブランドを運営しています。

ピースクリニック

市川・月島・江戸川の3院体制で展開しています。もとは耳鼻咽喉科のみのクリニックでしたが、現在は複数科を担う保険診療クリニックへと広がり、今後も段階的な拡大を予定しています。

AGAヘアクリニック

当初は対面診療を中心に行っていましたが、オンラインAGA診療の先行例として、かなり初期からオンラインを導入しました。

丁寧な説明と継続しやすい診療体験を大切にしており、カウンセラー育成にも力を入れています。

東京ミレニアルクリニック

オンライン診療のみ行うブランドです。

ただし、3分診療で薬だけ出すといった形ではなく、

  • オンラインでも丁寧に説明する
  • 何かあればLINEですぐ相談できる

という、誠実なオンライン診療を重視しています。

―― 外から見ると、別領域の医療を3つ運営しているようにも映ります

水島先生:よく言われますが、実は根っこは同じなんです。

  • 患者さんの体験を良くする
  • 不要な医療を押し売りしない
  • 医学的な正しさと体験としての安心を両立する

この共通の考え方があるからこそ、自費診療で得た学びを保険診療に活かし、保険診療での気づきを自費診療にも持ち帰る。その循環は、対面やオンラインでも同じように回り、診療形態を分けず体験の質を高め続けることができています。

導入前にあった噛み合わなさ──部分最適と理念のズレ

オンライン診療やLINE活用には早い段階から取り組んできましたが、どこか噛み合っていないような感覚がずっとありました。

東京ミレニアルクリニック:部分最適な改善が、全体をちぐはぐにする

水島先生:当時は外部ベンダーにLINE配信設計を依頼していました。
ただ、依頼した通りに実装されるだけで、患者体験を踏まえた全体再設計には踏み込まれませんでした。

1通目の配信タイミングを変えたいと頼めば、1通目だけが修正される。
本来なら2通目・3通目の文脈や間隔も含めて見直すべきなのに、そこまで話が及ばない。

結果として、運用するほど違和感が積み重なり、現場は後追いで問題に気づく状態が続いていました。

AGAヘアクリニック:アフィリエイト型導線と、患者体験のギャップ

水島先生:自社開発カルテとの連携が難しく、初期にはアフィリエイト型LINE導線を使った時期がありました。しかし、その導線は「予約させること」が目的で、途中の不安や質問には全く答えません。

「質問を受け付けず、予約だけ取って終わりというのは、患者さんにとって不誠実だと感じていました」

理念と現場の間に、小さなひびが入り続ける状態でした。

Medibot導入の決め手

水島先生:正直に言うと、Medibotを選んだ理由はサービスそのものより人でした

オンライン診療の未来は、AIやシステムの扱い方に左右されます。
ただ、技術だけでは患者さんの不安や迷いは拾い切れないと考えています。
見えない患者さんをどう想像するかは、人間にしかできない仕事です。

ソラリウムのチームを評価したのは、まさにこの想像する力でした。
友だち登録前の、まだ姿が見えない段階から、

・どんな広告を見て流入してくるのか
・その裏側にどんな不安や迷いがあるのか
・どのタイミングで、どんな言葉を投げかけるべきか

といった見えない部分まで想定し、全体設計に落とし込んでいきます。

こちらの意図や背景まで理解したうえで、他のフローへの影響も含めて一緒に考えてくれる
そこが決定的に違いました。

さらに、AGAヘアクリニックのように自社カルテとの連携が必要なケースでも、技術的なハードルに対して前向きに検討し、予約だけを取らせる導線ではなく、相談から始まる体験を一緒に設計できたことが、導入の大きな決め手になりました。

Medibot導入で起きた変化

東京ミレニアルクリニック:ファネルごとの可視化で、改善が加速

水島先生:Medibotを導入して何より大きかったのは、「感覚で語っていた課題が、数字として立ち上がったこと」でした。

それまでは、どこかで詰まっている気がする、予約までの導線が長いのかもしれない──そんな曖昧な手触りしかありません。

導入後は、友だち登録 → 予約 → 診察 → 継続という一連の流れがファネルとして可視化され、どの地点でどれだけ離脱が起きているのかが明確になりました。

課題が言葉ではなく数字で示されると、改善の議論は一気に具体的になります。
仮説を立て、検証し、また調整する。そのサイクルが驚くほど早く回るようになり、現場の判断も迷いがなくなりました。

「なんとなく」で運用していた部分をひとつずつ置き換えていけるようになったことが、改善速度を大きく押し上げています。

AGAヘアクリニック:「まず相談できる場所」ができた

水島先生:ヘアクリでは、Medibotによって「不安を言葉にできる場所」がようやく形になりました。

いままでは、病院に行くほどではないけれど悩みを抱えている、誰に相談すればいいか分からない──そんな層の気持ちを受け止められずにいました。

LINEで気軽に相談できる導線が整ってからは、患者さんがいきなり予約ではなく、ひと呼吸おいて相談できる流れに変わりました。

そのプロセスがあるだけで、予約前の心理的ハードルは下がり、患者さん自身の納得感も高まり、診察時のコミュニケーションは格段にスムーズになります。

相談から始まる診療体験は、患者さんの満足度を大きく押し上げました。
予約を押しつけるのではなく、「話してみよう」と思える場所を用意できたことが、クリニックとしての価値につながっています。

オンライン診療への考え方──「医療の壁は下げる、でも品質は下げない」

―― オンライン診療について、どのように捉えておられますか?

水島先生:対面診療が不要になる未来は想像していません。
AIだけで正解を出し切れる時代にもなっていません。
やっぱり顔を合わせて話す安心感は大きいと思っています。

一方で、ここ数年「医療の壁を下げよう」という流れの中で、
オンライン診療が極端にカジュアル化し、トラブルを抱えた患者さんが後から流入してくるケースもあります。オンライン特化型が悪いわけではありませんが、リスクを理解したうえで選択されるべきだと考えています。

オンラインを選ぶ理由が「薬だけ欲しいから」だけになってしまうと、医療として危ういと感じています。

だからこそ則由会では、

  • 丁寧に説明を聞きたい
  • 不安を相談したい
  • きちんと診てほしい

という方に向けて、オンラインと対面の行き来をしやすくしています。

全国200クリニック構想──地域をつなぐ医療ネットワークへ

水島先生は、長期的な構想として「全国に100〜200クリニック」を掲げています。

地方では、1つのクリニックがなくなるだけで、医療へのアクセスが途絶えてしまう地域があります。
多くの場合、その地域医療は、クリニックを支える医師1人の善意と健康に依存しているのが現実です。

「理念を共有する医師が、『じゃあ、しばらく自分が行きます』と言える。そんな関係性が成り立つネットワークをつくりたい。」

先生が目指しているのは、クリニックの数を増やすこと自体ではありません。
地域に必要な医療を途切れさせないために、医師同士が支え合い、採算だけに左右されない形で維持できる構造。そのための手段として、一定数のクリニックを持つ必要があると考えています。


そうした仕組みをどう実装し、どう持続させていくか——
そこには、まだまだ世の中のために取り組みたい挑戦が数多くあります。
Medibot/ソラリウムには、そうした構造を運営として成立させるための基盤として、期待が寄せられています。

医療法人社団則由会 理事長/耳鼻咽喉科専門医

水島 豪太(みずしま こうた)

日本大学医学部卒業後、東京医科歯科大学耳鼻咽喉科に入局。大学病院・市中病院で研鑽を積み、カリフォルニア大学サンディエゴ校へ留学。帰国後は水島耳鼻咽喉科の副院長、AGAヘアクリニックを院長として開院。2021年5月より理事長に就任。

診療の中では、「患者さんと仲間から信頼されること」を軸に、複数の診療ブランドを横断する運営体制を整えてきた。

2021年に理事長就任。保険・自費・オンラインをつなぐ医療モデルを構築し、理念を共有する医師同士が支え合うネットワークづくりに取り組んでいる。

こんな人にMedibotがおすすめ

Medibotは、保険・自費やブランド構成に関わらず、患者さんとのやり取りを一つの流れとして整えたいクリニックに向いています。友だち登録から予約、相談、オンライン診療までを一貫して扱えるため、分断されがちだった運用をなめらかにし、クリニックが大事にしている方針をそのまま仕組みに変えられます。

オンライン診療でも説明やフォローの質を落としたくない方、予約前の不安をLINEで丁寧に受け止めたい方に、とくに相性の良い設計です。

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