インバウンド医療の未来図：オンライン診療が拓く「訪日医療×多言語サポート」の最前線

2025/11/15

2025/11/12

2025年、日本を訪れる外国人旅行者はすでに3,000万人を突破しています。
観光地には活気が戻り、街には多くの言語が飛び交っています。
一方で、静かに注目を集めているのが「旅先の医療アクセス」です。

観光庁の調査によると、実際に旅行中に体調を崩す人は全体の約4％、そのうち6割が風邪・熱の症状と答えています。そして全体の約2％が実際に受診をしています。
言葉の壁、夜間や休日の受診の難しさ、保険未加入など――見えない不安があるのです。

こうした課題を解消する手段として、今注目されているのがオンライン診療です。
スマートフォンを使って、ホテルや空港、観光地から医師に相談できる仕組みが全国に広がりつつあります。

自費オンライン診療ならMedibotにお任せください！

旅先の不安をスマホで解消

旅の途中で体調を崩しても、いまはスマートフォンひとつで医師に相談できる時代です。
観光地やホテル、空港など、滞在先からオンライン診療を受けられる環境が全国で整いつつあります。
軽い発熱や腹痛、アレルギー、生理痛、薬の再処方といった、旅行中によくある体調不良にも対応。
通訳を介した診療や電子処方箋の発行が可能で、薬は近隣の薬局で受け取ることができます。

観光庁を中心に、医療アクセス向上やオンライン診療の活用を支援する取り組みが進んでいます。
「体調を崩しても旅を続けられる」仕組みは、観光立国としての日本に欠かせない安心のインフラになりつつあります。

オンライン診療がもたらす3つの価値

価値	旅行者にとって	医療機関・観光施設にとって
すぐつながる	夜間や休日でも、ホテルや空港から医師に相談できる	軽症患者をオンラインで対応し、救急や窓口の混雑を防げる
言葉が通じる	通訳付きで診察内容や薬の説明を理解できる	通訳や決済をシステム化し、対応品質を均一化できる
信頼できる	日本の医師に診てもらえる安心感がある	外国人対応の実績を積み、地域医療の信頼性を高められる

オンライン診療の最大の強みは、「時間と言葉の制約をなくすこと」です。
体調を崩した旅行者がすぐに医師へアクセスできる安心感。
そして医療機関にとっても、オンライン対応によって救急外来の混雑を防げるという利点があります。
オンライン診療は、旅行者と医療機関の双方にメリットをもたらす仕組みとして広がり始めています。

現場で進む導入の波

ホテルで受けられるオンライン診療

宿泊施設でのオンライン診療導入が広がっています。
代表例は医療スタートアップの「Hotel de DOCTOR 24」で、
客室に設置されたQRコードを読み取るだけで、多言語対応のオンライン診療を受けられます。

仕組みはシンプルです。
客室のQRコードから24時間オンライン診療（22言語の医療通訳）に接続。
受診後は処方箋の発行が可能で、近隣薬局での受け取りが基本です（施設や連携先により配送可否は異なります）。「夜中に発熱しても部屋から出ずに相談できた」と、利用者の評価も高いサービスです。

この取り組みはインバウンド受入れ整備の流れと合致する取り組みとして展開中。
今後は地方観光地への拡大も検討されています。
オンライン診療を備えたホテルは、
体調を崩しても安心して泊まれる宿という新しい価値を得ています。

空港・自治体による取り組み

空港や自治体でも、外国人旅行者の医療アクセスを強化する動きが進んでいます。

成田空港ではオンライン診療クリニックを開設。
フライト前後の体調不良や処方箋の発行に活用されています。
一部自治体では、多言語相談や遠隔医療の体制整備・実証が進んでいます。
（例：京都の多言語相談、北海道の遠隔医療推進）。
国内外の観光客向けのオンライン医療提供は地域ごとに運用が異なります。

これらの事例はいずれも、「医療を観光インフラとして整える」という方向性のもとに展開されています。
旅行中の体調トラブルをスムーズに解決できる環境は、
観光地としての信頼を高め、日本全体の安心して訪れたい国という評価にもつながっています。
体調を崩しても安心して旅を続けられる環境を整えることは、
単なる医療支援にとどまらず、観光地としての信頼を高める地域戦略にもつながっています。

美容・自由診療は訪日前の活用が中心

美容や再生医療のクリニックでも、海外からの問い合わせは増えています。
ただし、施術は訪日前に予約し、滞在中に対面で受けるのが一般的です。

多くの患者は日本のクリニックと直接やり取りせず、
中国や東南アジアの医療仲介会社や旅行代理店を通じて予約します。
これらの代理店は日本の美容外科と提携し、
現地カウンセリングや通訳、宿泊・送迎、術後ケアまでを一括でサポートしています。

自由診療のオンライン活用は来院を支える調整の仕組みです。
海外エージェントのネットワークが、日本の美容医療をより利用しやすくしています。

オンライン診療を支える体制づくりへ

安心して使える制度と仕組みへ

オンライン診療は基本的に自由診療として扱われますが、実施にはいくつかの制度的な調整が必要です。
都道府県ごとの運用ルールを整理し、医療機関が安心して外国人患者を受け入れられる環境づくりが求められます。
また、外国人の個人情報を扱う以上、GDPRなど海外のデータ保護規制に対応した仕組みが欠かせません。
診療データの暗号化や多要素認証といった国際基準のセキュリティ対策を整えることが、信頼の基盤となります。

多言語と支払いのストレスをなくす

多言語対応はオンライン診療の要です。
通訳スタッフを常時配置するのは難しいため、オンデマンドで呼び出せるビデオ通訳システムの整備が進んでいます。
また、支払い面ではクレジットカードに加えて、WeChat PayやAlipayなど、主要な海外決済への対応が不可欠です。
医療機関・ホテル・保険会社が連携し、通訳と決済の両面で利用者の負担を減らす体制づくりが望まれます。

信頼できる運営体制づくり

訪日医療の安心を確保するためには、信頼できる運営体制が欠かせません。
医療機関、宿泊施設、旅行会社、通訳事業者が明確な契約のもとで連携し、責任範囲を整理することが重要です。
また、海外の仲介業者を通じた予約が増える中で、誤情報や過剰広告を防ぐガイドラインの整備も求められます。
透明性と一貫性をもった体制を築くことで、旅行者が安心して日本の医療を利用できる環境が整っていきます。