厚労省調査が明らかにするオンライン診療の課題と自由診療クリニックの導入チャンス

厚生労働省によれば、オンライン診療を受けたことのある患者は全体のわずか約3.5%にとどまっています。制度としては整備されているものの、多くの患者にとってはまだ一般的な診療スタイルとは言えません。

しかし裏を返せば、オンライン診療は「成長余地を大きく残した市場」とも言えます。実際、患者からは「通院の手間が省ける」「待ち時間が減る」といった利便性が高く評価されており、自由診療領域でも活用が広がりつつあります。特に美容医療やAGA、医療ダイエットなどは、継続診療との相性も良く、オンライン診療の強みを活かしやすい分野です。

本記事では、厚労省の調査データをもとに、オンライン診療の利用実態や患者ニーズを整理しながら、自由診療クリニックにおける導入の可能性を解説します。

オンライン診療の実態:厚労省調査から見える「今」の市場

令和6年度「入院・外来医療等における実態調査(外来調査(患者票))」によれば、オンライン診療を受診した経験がある患者は約3.5%にとどまっています。制度としては整備が進んでいるものの、多くの患者にとってはまだ一般的な診療スタイルとは言えません。

一方で、オンライン診療の利用経験者のうち、自由診療として受診した割合は約15.3%に達しています。美容医療やAGA、医療ダイエットなど、継続治療や利便性との相性が良い領域では、すでに一定のニーズが存在していることがわかります。

さらに、受診者の約19%は居住地と異なる県の医療機関を利用していました。これは、オンライン診療によって「近くのクリニックに通う」から「自分に合ったクリニックを選ぶ」へと、患者行動が変化し始めていることを示しています。

つまり、オンライン診療市場全体はまだ普及初期にある一方、自由診療領域ではすでに商圏拡大や継続診療の手段として活用が進み始めていると言えるでしょう。

患者がオンライン診療を選ぶ理由:「利便性」が最大の動機

調査によれば、患者がオンライン診療を選んだ理由は次の通りです(複数回答)。

  • 通院時間がない:35.3%
  • 体調が悪く外出が難しい:24.7%
  • 住まいが遠い:16.5%

ここから見えるのは、患者がオンライン診療に求めているのは 「利便性」 であることです。特に通院負担を減らせることが最大の魅力となっています。

自由診療クリニックのターゲット層を考えると、このニーズは極めて重要です。多忙なビジネスパーソンや、育児・介護で時間が限られる層にとって、「通院不要」「待ち時間削減」は大きな価値です。オンライン診療を導入することで、こうした層の潜在需要を掘り起こし、競合クリニックとの差別化につなげられます。

患者が感じたメリットとデメリット:オンライン診療の二面性

オンライン診療は利便性が評価される一方で、医療の質への不安が残ることが明らかになりました。

メリット(患者調査)

  • 感染症リスクを気にせず受診できる:77.9%
  • 待ち時間が減った:75.6%
  • 都合に合わせて受診できる:68.6%

デメリット(患者調査)

  • コミュニケーション不足を感じた:20.9%
  • 検査や処置が受けられない:45.3%
  • 十分な診療を受けられない:29.1%

自由診療で重要な「対面」と「オンライン」の使い分け

美容医療やAGA、医療ダイエットなどの自由診療では、治療を継続してもらえるかが重要になります。その点、オンライン診療は「通院の手間が少ない」「待ち時間が短い」といった手軽さから、再診や定期フォローとの相性が良い仕組みです。

一方で、検査や処置、重要な説明が必要な場面では、対面診療の重要性も依然として高いままです。そのため、初診や検査は対面で行い、経過観察や継続処方をオンライン化する「ハイブリッド型」の運用は、自由診療と特に相性が良いと考えられます。

実際、患者調査でも「十分な診療を受けられない」といった不安が一定数存在しており、オンラインと対面を適切に使い分けることが、患者満足度や継続率の向上につながります。

オンライン診療をまだ受けたことのない患者の理由と可能性

厚労省の調査によれば、オンライン診療を未経験の患者が利用に踏み切れていない主な理由は次の通りです。

  • 対面の方が十分な診察を受けられる:55.0%
  • 対面の方が十分なコミュニケーションがとれる:42.8%

これは「利便性が足りない」というよりも、「オンラインでどこまで診てもらえるのか」が十分に伝わっていない状態とも言えます。特に初診や検査など、重要な診療までオンライン化されるイメージに不安を感じる患者は少なくありません。

未経験者層への前向きなアプローチ

自由診療クリニックがオンライン診療を広げていくには、「すべてオンライン化する」のではなく、どこをオンライン化するのかを明確に伝えることが重要になります。

  • HPや資料で「診療の流れ」や「サポート体制」をわかりやすく提示
  • 初回オンライン相談を低価格または無料で提供し、気軽に試してもらう
  • オンライン再診によって通院負担を減らせることを伝える

また、自由診療では「オンラインだと簡易的な診察になるのではないか」と不安を感じる患者も少なくありません。そのため、オンライン診療であっても、時間をかけて丁寧にヒアリングや説明を行う姿勢が重要になります。

単なる効率化ではなく、「通院負担は少ないが、しっかり診てもらえる」と感じてもらえる運用が、患者満足度や継続率の向上につながります。

オンライン診療で重要なシステム・導線設計

患者が望む診療スタイルは以下の通りです。

  • 症状に応じて使い分けたい:43.0%
  • 医師の判断に任せたい:34.5%
  • 対面よりオンライン診療を希望:2.6%

多くの患者は、「完全に対面」「完全にオンライン」のどちらかではなく、状況に応じて柔軟に選べる診療体制を求めています。つまり、オンライン診療は対面診療を置き換えるというより、補完する手段として受け入れられやすいことがわかります。一方で、「できるだけオンラインで完結したい」というニーズも一定数存在します。特に、AGA・ED治療、美容外用薬、ピルなど、継続処方が中心の分野では、オンライン中心の運用と相性が良いケースもあります。

また、オンライン診療では「診察ができること」だけでなく、継続しやすい導線を作れるかも重要になります。例えば、予約方法が複雑だったり、再診導線が分断されていたりすると、患者は途中で離脱しやすくなります。そのため、予約・問診・決済・薬の配送などを一体化できるオンライン診療システムの導入も重要です。LINE連携やオンライン決済などを組み合わせることで、患者負担を減らしながら継続受診につなげやすくなります。

オンライン診療の現状と導入のポイントまとめ

厚労省調査から、オンライン診療はまだ普及途中でありながら、自由診療領域では着実に活用が広がっていることがわかります。特に、美容医療やAGA、ED治療など、継続診療との相性が良い分野では、通院負担を減らしながら継続率向上につなげられる可能性があります。

一方で、患者は「すべてをオンライン化すること」を求めているわけではありません。重要なのは、対面が必要な場面と、オンライン化しやすい場面を適切に切り分けることです。また、オンライン診療では診察そのものだけでなく、予約・決済・再診導線・フォロー体制まで含めた設計が、患者満足度や継続利用に大きく影響します。

自由診療クリニックにとって、オンライン診療は単なる効率化ではなく、「継続しやすい診療体験」を作るための仕組みと言えるでしょう。

出典

厚生労働省『オンライン診療の適切な実施に関する指針』

厚生労働省「入院・外来医療等における実態調査 調査結果報告書(第2/2部(構成割合編))」

厚生労働省「令和6年度調査結果(速報) 入院・外来医療等における実態調査」

よくある質問(FAQ)

オンライン診療の利用率はどのくらいですか?

オンライン診療の利用経験は約3〜4%にとどまり、まだ普及初期の段階です。

オンライン診療が普及しない理由は何ですか?

検査や処置ができないことや、対面の方が安心と感じる患者が多いことが主な理由です。

オンライン診療のメリットは何ですか?

通院不要や待ち時間の削減により、患者の時間的負担を大きく減らせる点が最大のメリットです。

自由診療でオンライン診療が伸びやすい理由は?

利便性を重視する患者が多く、継続利用と相性が良いためです。

オンライン診療は今導入すべきですか?

競合が少ない今の段階で導入することで、差別化と商圏拡大につながります。

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